桜色の涙
「悠大のことなんて、忘れられたと思っていたのに……私……っ、まだっ……」
────この気持ちを諦められないよ。
どうすればいいのかな。俺だって諦められないんだよ。星那ちゃんへの想いを。
でも、こんなに一途に想って傷ついている彼女を見るとどうすればいいのかわからない。
「美紀の言うことだってわかる。でも怖いの……。恋をしてもまた裏切られるんじゃないかって……」
気づけば彼女の唇に自分のそれを押し当てていた。
「俺は裏切らない。絶対にひとりにしないよ」
その言葉とともにまた沈黙に包まれる。それを破ったのは彼女だった。
「ねぇ、そばにいて……。今だけ一緒にいてよ、迅くん……」
俺は抑えきれなくなってこぼしてしまった。全ての始まりになる言葉を。
「……好きだよ」