MANSLAUGHTER【沈詩】
#686 青の憧れ
まぎれもない 青空の下
拭いきれない 僕の小さな掌は
ただ ひたすらに青に染まって
陽の光に照らすよりも早く
赤い血をめぐらす
海鳥が遠くで鳴いている
留まることを知らない若い翼
きらめく波のしぶきの
ひとつひとつ
鳥のように
空の青には
溶け込めないから
海の青へ
飛び込んだ
揺れる 沈む
沈む 揺れる
嗚呼 こんな僕じゃ
溶け込むことすら
無理だったと知る
海はだんだん
黒い闇へと
僕を引きずり
溶けて 消えるは 水の泡
【#686 青の憧れ】