京都あやかし絵師の癒し帖
ブラウザを立ち上げて思いつく限りの単語を入力する。それを画像検索にかけると、画面いっぱいにそれは並んだ。

そして気づく。

さっぱりわからない。

似合う、似合わないはさておき、こんなにたくさんあってはどれがいいのかまったく検討もつかない。もうすこし対象を絞ろうとして単語を増やしてみたものの、なにも変わらなかった。

かといって相談できるような女友達もいない。男に聞いたって、俺と大差ないだろう。こういうことに詳しそうな知り合いはいない。

「椿、ご飯よ」
階下から母の声が響く。こうなると、残りはひとりしかいない。母は手芸が趣味だし、あんな本見てるぐらいだし、俺なんかよりよほど詳しいだろう。

華やかな画像で埋め尽くされたノートパソコンを閉じ、部屋を出る。

カレーライスとトマトサラダを平らげる間、ずっと迷っていた。どう説明したらうまく伝わるのか。というか変に勘違いされずアドバイスをもらえるのか。
とある女性のために、なんて言ったら、うちの母親は絶対勘違いする。前科がありすぎる。

とはいえ、他に選択肢はなかった。期限は明日なのだ。交友関係は広いほうが、いろいろと助かる、ということを今学んだ。大学で参考にしよう。

食事を終え、片づけを手伝いながら父親がいなくなるタイミングをずっと待っていた。そして風呂に行くと立ち上がってリビングを出た時点で、俺は母親に声をかける。

「あのさ、見繕って欲しいものがあるんだけど」

後片づけも終え、お茶を飲みながらゆっくりしていた母は、俺のことばに「なあに」と暢気に答えてくれた。
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