僕の恋人
「大成!!」


名前を呼ばれハッと顔を上げた。


真っ赤な顔をした父親がこちらを睨んでいる。


きっと、一緒に出掛けたのに1人でいなくなってしまった俺の事を怒っているんだ。


俺は反射的に身を震わせた。


こんなの、いつもならどうってことないのに。


怖くも、なんともないのに。


「1人でフラフラするなと言っただろう!」


怒鳴り声に驚き、一気に涙腺が崩壊する。


俺は大声を上げて泣き始めた。


違う。


違う、違う、違う!!


俺は見たんだ。


この目で見たんだ。


腐った美咲を!


由依を助けなきゃいけない。


犯人はあいつなんだ!!
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