僕の恋人
☆☆☆

美咲が弱っていることはわかっていた。


それでもボクは美咲を抱きしめずにはいられなかった。


彼女にとって負担になるかもしれないとわかっていながら、その体を求めてしまう。


消えゆく彼女を少しでも感じていたいと思った結果だった。


「ねぇ……」


ある日の昼下がり、いつものようにベッドに座って映画を見ていると美咲がボクの手を握りしめてそう言った。


「なに?」


そう聞きながら視線を美咲へと向けると、美咲は右手を腹部に添えるようにしてそっと置いていた。


そこが、いつもより少しだけ膨らんでいるように見えた。


「え……?」


美咲が何かを言うより先に、ボクはそう呟いていた。


華奢な美咲の腹部だけが、ふっくらとしている。


それが何を示しているのか、ボクは本能的に理解した。
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