僕の恋人
「もしかして、ボクはパパになるのか?」


そう聞くと、美咲はくすぐったように笑って頷いたのだ。


一瞬にして体中の血が駆け巡った。


美咲が妊娠した。


パパはボクだ。


その事実がいともたやすくボクを幸せの絶頂へと運んで行った。


「本当に? 嘘じゃないよね?」


「たぶん、本当だよ。まだ病院へも行ってないからわからないけど」


美咲の言葉にハッと我に返った。


そうだ、美咲はまだ病院へ行っていない。


検査薬だって試していないはずだ。


美咲はずっとベッドの上にいるのだから、ボクが検査薬を買ってこない限り陽性かどうかもわからないのだ。


こうしちゃいられない!


ボクはベッドから飛び起きて手早く着替えを始めた。
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