僕の恋人
「美咲、絵描けた?」


下駄箱までやって来たあたしはクルリと振り向いて何気なくそう声をかけたのだ。


大人しい美咲はいつでも集団の後ろをついて歩く。


今日もそうだと思い込んでいた。


しかし、そこに美咲の姿はなかった。


下駄箱では他の生徒たちが靴を履きかえている。


「美咲?」


まだ校庭にいるのだろうかと思い、一旦戻る。


しかし、そこにも美咲の姿はなかった。


広い校庭には誰の姿もない。


「坂手さん、どうしたの?」
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