夜空の星は月とともに瞬く
『…はい、よろしくお願いします。』
失礼しました。そう言って、職員室を出る理帆。
最後に、思い出の場所を巡りたかったから。
屋上や空き教室。
体育館裏に渡り廊下や売店。
それぞれの学年の教室。
そして、最後に再び屋上へと戻ってきた。
ぼんやりと空を見上げながら、みんなの姿を思い出す。
『お別れだね。』
そう呟いた声は、雲の浮かぶ空へと消えていった。
チャイムがなり、SHRが始まる。
先生に呼ばれ、教室に入ると、みんなが気まずそうに目をそらす。
「しばらく、怪我で入院していた浦河だが、今日をもって転校することが決定した。」
担任が言ったこの一言に教室内がザワつく。