夜空の星は月とともに瞬く
多分、病院の中の一室なのだろう。
つまり、私は死ねなかった。
誰の役にも立てずに生きている。
『死ねなかった…それどころか、私のワガママのせいで煌翔の人たちにもキズを負わせてしまった…会えない…もう、会わせる顔もない…』
泣きたくなってくる。
悲劇のヒロインになんてなりたくないと思っていたのに、結局は私もほかの女と同じで、最低の人間だった。
『逃げなきゃ…』
とっさに思いついたのは、煌翔の人たちは私がここにいると知っているだろうから、ここから逃げ出して姿をくらませなくてはならないということ。
ベッドから降りようとしたが、どのくらい寝ていたのか力が入らなくて落ちてしまった。
ガッシャーンと豪快に音を立てて点滴などが床に倒れる。
「大丈夫か!?」
知らない男の人が病室に入ってきた。