死にたがりのブルー




不意打ちを食らって真っ赤になった顔を隠すように俯くと、ふわりと吹いた風に髪が揺れて。




「…夏の匂い」




ぽつりと呟いた早川くんの声が、どこか寂しそうに聞こえた。





「ねぇ、聞いていい?」



「うん?」




「部活、どうしてやめたの?」





やっぱり少し、気になってしまった。





「うーん、飽きたから?」




「あ、そうなんだ」




「なに、もっと重い理由だと思った?」




「正直、膝壊したとかだと思ってた」




「ふ、そのくらいじゃ辞めないって」



思いのほか軽めの答えが返ってきて拍子抜けしたと同時に、違和感を覚えた。



< 31 / 45 >

この作品をシェア

pagetop