約束
彼と会うときは基本大勢の人たちがいつも周りにいた。
みんな、ピアスが空いてたり、化粧、髪の色が派手だったりした。
それでも、見た目とは違って優しいくて気さくな人たちばかりだった。
それでも、周りからは白い目で見られるばかり。
『人を見た目で判断するな』
本当にその通りだと実感する。
新と皆と毎日一緒にいるのが楽しかった。
新との交際も順調に進んでいたと思っていたある日。
「新、浮気してるよ」
頭をガーンと殴られたような衝撃だった。
交際を半年すぎた頃だった。
学校にも慣れてきて新と共通の人たちとも打ち解けてきて、これからって時。
なんで…?新。
最初は分からなかった恋っていうものを実感して、好きになって来た頃。
彼とも上手くいってると思っていた。
でも、違ったみたいだった。
その夜、いつもの集合場所に新も現れた。
「新、少しいいかな?」
いつも通り新に話しかける。
新は、笑って「どした?」って私に歩み寄ってくる。
気持ち悪い。気持ち悪い。気持ち悪い。
なんで、平気な顔して笑えるの?
裏切ったんだよね…どうして?
「浮気してるってほんと」
私は俯いたまま彼に問う。
少し焦りが垣間見える。
本当なのだと確信した瞬間、頭の中が空っぽになるのが分かった。
怒りと悲しい気持ちが入り交じる。
考えていた事。言いたかったことが喉に引っかかって出てこない。
「ごめん…」
そんな言葉を聞きたかったんじゃない。
何も聞こえない。聞きたくない。
どうして?なんで?
私の何がいけなかったんだろう…。
「分かった。別れよう。」
私がかろうじて振り出せた言葉がその言葉だけだった…
静まり返る。
空気が重い。
この場から逃げ出したくて、苦しくてどうしようもない。
「分かった。」
彼はそう言って戻って行った。