・喫茶店『こもれび』
「ながっ!」
「……だね。あははっ」
おいおい!
そこは『だね』じゃないでしょうよ。
長すぎだよ、そんな気長に待ってるの? ってか、待てるものなの?
三年も経つまでに、出来ることがあるんじゃない?
待ってるだけじゃなくて、電話するとか会いに行くとか思わなかったの?
正直、呆気にとられて何も言えないや。
口を開いたら「待ってるだけじゃなくて、行動しなよ!」と言っちゃいそうで。
けれど、年上の女性を相手に突っ込むことも出来ず、苦笑いするしか術がない。
「真澄、またここに居たのか」
加納さんと二人で目の前の海を眺めていると、彼女の左側から駆け寄ってきた男性に声をかけられた。
同時に目を向け、先に反応したのは彼女の方だった。
「修(しゅう)」
新しい男登場! って、誰よ?
今、加納さんは「シュウ」って口にしたということは、片思いの相手じゃないんだよね?
でも、親し気に名前を呼んだ位だから、彼女にとって結構身近な存在のヒトってことなんだよね?
ジッと見つめる私の視線に気づいたのか「シュウ」さんは加納さんの腕を引き、立ち上がらせると私に視線を落とした。