・喫茶店『こもれび』
小さく頷いた三好さんに向かい、首を捻り返す。
「いいから、行っておいで」と手で払われ、トレイに乗せたドリンクを運んで行った。
「お待たせしました」
「どうも。あの、少し話せますか?」
ビンゴ!
「三好さん凄い、予言者ですか!」と言いたい気持ちで、カウンターに居る三好さんに目を向ける。
そんな私のことを、三好さんはずっと見守っていてくれたみたい。
いつもと変わらない、あの優しい眼差しで。
「はい。えっと、三好さんからも言われて。私の分までアイスティーを用意されました」
「そっか、さすが夏樹さんだ」
『夏樹さん』
今まで常連客から三好さんのことを、下の名前で呼んでいる人に会ったことなど無かったから。
それだけ、この人と三好さんとの仲も近しい間柄なのだろう、と感じた。
向かいの席に座ると、改めて丁寧に挨拶された。
男の名は「修」。
加納さんと同じ二十五歳。
この席から見えるオフィスに勤務しているらしい。
加納真澄さんとは幼馴染であること。
そして、加納さんが片思いしている「シュン」さんとは、兄弟だということ。