・喫茶店『こもれび』
悲しみを乗り越えなきゃだめだよ。
二人の今後のためにも、俊さんのためにも。
きっと、俊さんだって願っているはずだよ。
俊さんと加納さんが想いを確認し合えなかったことは残念だけど、自分のことで二人が後悔したり責めたり、幸せになれないなんて。
俊さんは望んでいないはずだから。
「年下の女の子に泣かれながら説教されるとはね、参ったな」
目の前に座っているはずの修さんが、いつしか涙でぼやけていることにも気づかず。
知らぬ間に大泣き出していたことを、修さんの言葉で気付かされた。
「この世に居ない人を相手にしたら、誰も勝てっこないじゃん。だったら、二人で前を向くこと考えた方がいいよぉぉ」なんて、オイオイ泣きながら口にしているなんて。
少し前の私は、ただ三好さんから秘密にされたことを知りたいという、好奇心の塊だったはずなのに。
どうやら話を聞いているうちに、加納さんの気持ちにも修さんの気持ちにも同調してしまっていたようだ。
「うちの店員が失礼しました」