・喫茶店『こもれび』


もしも、そう思われていたのなら。
それは三好さんが見守っていてくれるからだ。
私は三好さんの前でだけは、飾らずに本来の自分でいられるだけで……。


「修君が言っていたよ。彩夏ちゃんの、周囲を元気にしてしまう前向きなパワーは凄いですねって」

「元気にしてる? 私が?」

「うん。いつも近くで元気を貰ってる俺が一番感じてるから、正しいと思うよ」


頭をポンポンされ、何だか気恥ずかしくなる。


これって、褒められているのかな。
喜んでいいんだよね? ……でも……。


「三好さん、私達がケンカ中だってこと忘れてない?」


考えてみたら、さっきから三好さんのペースに乗せられてしまっている私は、ケンカしていることさえ忘れて普通に接してしまっているじゃないか。
もっと言えば、ケンカ相手の部屋に初めて入れたことに浮かれていたなんて。


「ケンカなんかしてたっけ?」


腕を組み、天井を見上げながら思い出している仕草の三好さんを前に、ガックリと力が抜けた。
やっぱり三好さんはケンカしてるなんて思っていなかったのだ。
ということは、私がさっきから一生懸命「怒っているんだぞ!」と気づいてほしい態度を取っていたことさえ無駄だったということか。
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