・喫茶店『こもれび』


「どうかな」

「だって、おかしいよ。お客様に踏み込むなって言っていたわりには、加納さんを海で見つけて話してきた後からは……」

「俺は二人を見守ることしかできなかったからかな。彩夏ちゃんには、二人の背中を押してもらいたくなったのかもしれない」


見守り隊の三好さんは、攻めの私に二人を託したということなの?
まあね、確かに私には三好さんのように黙って見守ることが出来ない奴なんだってことは、今回のことでよく分かったけどさ。
私なりに、ちょっとは反省してるんだけどな。
それを肯定されてしまったら、謝るにも謝れないじゃん。


「今日はもう店じまい。帰る前に、お茶でも一杯飲んでいく?」


私から離れ、キッチンに向かった三好さんは背中を向けた。
やかんに注がれる水音が、気持ちを掻きたてる。


今すぐ三好さんの背中に抱き着き、憧れている気持ちを伝えたくなった。


「初めてお客様の私情に首を突っ込んでみて、どうだっ……」

「ごめんなさい!」


手を伸ばし、駆け寄っていた。
背中を向け話しかけてくれた三好さんの背中に抱きついて、言葉を遮るように謝った。


「彩夏ちゃん?」
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