・喫茶店『こもれび』
後日。
三好さんに告げていた通り、修さんは加納さんを連れて来店していた。
加納さんがいつも腰を下ろす窓際の一番隅の席に、二人は向かい合って座っている。
そんな光景を見る日がくるなんて。
最初に加納さんのことが気になった時からは、考えられないことだ。
カウンター越しに、三好さんと肩を並べ気配を消し二人を見守る。
どことなく、初めて見た時の「今にも消えてしまいそうなはかなげな雰囲気を纏っていた加納さん」と同じ人物だと思えない。
それが私にも分かるくらい、雰囲気も顔色もよくなっている様に見える。
きっと、加納さんの傍に居る修さんが頑張ているんだな。と思えるのだ。
「夏樹さん、都倉さん、ちょっといいですか?」
修さんに呼ばれ、三好さんと顔を見合わせた私は「はい、今行きます」と元気に返事し。
三好さんの手を強引に止めさせ、背中を押しながらカウンターを出た。
「今までお世話になりました。あれから真澄には真実を、俊の死を包み隠さずに話しました。取り乱したりしたし、受け入れるには辛かった現実だと思いますが。都倉さんと話した楽しい話を思い出したりして、真澄なりに少しずつ受け入れることが出来たようです」
「そうですか」