・喫茶店『こもれび』

で、こんな話をするために、お店にやって来たということは……。
考えられることは、ひとつしかないじゃないか。


「復縁希望」ってやつだよね?


胸の中がザワザワとして落ち着かない。
これ以上聞きたくない、と思いながらも離れられない。

三好さんが、なんと返事をするのか。
気になって仕方がないから。


葛藤していたことで、身を隠し聞き耳を立てていたことを忘れてしまっていた。


「彩夏ちゃん? そんなところで何やってるの?」


当然、私に気付いた三好さんから声をかけられてしまい。
逃げも隠れも出来なくなってしまった私は、スゴスゴと観葉植物の影から顔を覗かせる。


三好さんの表情は……うわっ、真顔だ。
こりゃ、完全に怒ってますよね。
人の会話を盗み聞ぎしているなんて、悪趣味以外の何物でもないし。


「えっと、すみません。聞くつもりはなかったんですけどぉ……」


なんて、白々しい台詞を吐いたところで、信じてもらえるはずもなく。
「立ち聞きは良くないよ」と注意を受けてしまった。


「ごめんなさい」


素直に謝ると、三好さんは座っていた客席の椅子から立ち上がり。
身体の向きを私に向け、目の前に立った。

眉をひそめ、若干困ったような表情を浮かべ「どこから聞いてたの?」と尋ねられてしまった。
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