・喫茶店『こもれび』
彼女と出逢う前から、将来は喫茶店を経営したいと考えていた三好さん。
けれど、喫茶店経営の話を初めて聞かされた彼女は「不安定な収入で結婚など考えられない」と三好さんの気持ちを否定した。
卒業後は、大手企業に就職するとばかり思っていた彼女にとって、三好さんの夢は大きな弊害となってしまったのだ。
何度話し合っても、考えは平行線をたどり。
将来に不安を覚えた彼女が、就職のために街を出て行く時期をきっかけに「彼の元を去ったのだ」と教えてくれた。
いやいやいや。
そんな細かい話まで聞くつもりはなかったのに。と思ったところで、三好さんと彼女のこれまでの経緯を知ってしまった私は。
もう、何も言えやしない。
要するに彼女は三好さんの元を離れたけれど、忘れられなくて。
三好さん以上の人に出逢うことが出来なかったから、三好さんの元に帰って来たってことでしょ?
で、三好さんもさっき「俺も」と答えていたのだから。
結局、別れた後も彼女の帰りを三好さんはこの店で待っていたってことになるじゃないか。
なんだ、元サヤに戻るってヤツ?
……ということはさ。
つまり、三好さんに自分の気持ちを伝える前に。
私は失恋してしまっている、ということだ。