・喫茶店『こもれび』
それに、年齢差のある恋愛など経験がなかった三好さんにとって「正直どうしていいか、分からなかったのだ」と話していた。
どう接したら正解なのか、考えても答えも出ずに日々を過ごしていたのだ、と。
「真っすぐに俺を『好きだ』と伝えてくる姿が眩しくて。いつだって動揺してた。そんな気持ちを悟られたくなくて、大人ぶって平静を装って。いつも何でもないふりをしていた。年下の女の子に惹かれるなんて、自分でも意外だったから」
そう口にした三好さんの手が静かに伸びてきて、そっと私の頬に触れた。
「大人として、きちんと一線を引かなくては。と思って接してきたつりでも。気持ちを全部俺だけに向けて、俺を好きだと表現してくれる度に、触れたくなる気持ちを抑えてた」
「えっと……」
今までの話から、三好さんが好きな「その女の子」が。
私には、ひとりしか思い当たらない。
「まだ、分からない?」
「……それってつまり」
合ってるのかな。
思い上がりかな。
自惚れが過ぎる……かな。
「ある日、君がバイトにやってくる時間をソワソワして待っていることに気が付いた。毎日、こんなに君のことを心待ちにしていたなんて、自分でも驚いたよ。いい歳してなにやってるんだ、ってさ」