・喫茶店『こもれび』
頭を撫でながら、微笑みかけてくれている三好さんは何だか嬉しそうに見える。
それは、ずっと胸にしまっていてくれた気持ちを私に伝えてくれた安堵感からなのだろうか。
三好さんから贈られた言葉の一つ一つが、私には大切なプレゼントで。
一語一句忘れず、心にしまっておきたいと思っていた。
でも。
好きだと思ってくれていたなら、もっと分かりやすくしてほしいよ。
全く脈無しって感じの中、元カノとか出てこられたら。
さすがに自信無くすし、諦めモードになっちゃうよ。
「三好さん、今ヨシヨシって頭撫でてるのは違うんじゃない?」
「どうして? 彩夏ちゃんのこと可愛いな、って思ってるんだから合ってるでしょ」
違うよー!
せっかく気持ちが通じ合えたんだから、することは「これ」じゃないでしょ。
カウンターを挟んでいる私の頭に手を置いたまま、三好さんの身体が近づき。
むくれている私の唇に、肉厚の唇が重ねられると。
一瞬で離れていき、三好さんととても近い距離で目が合った。
「もしかして、こっちを期待してた?」