・喫茶店『こもれび』
ふふっ。と目を細め目尻が落ちている三好さんは、何処か余裕の笑みが零れている気がする。
それは年上の大人の男性としての余裕からくるものなのか。
それとも、私の考えていたことを当然のように当てたからなの?
なんだか、からかわれている様な気がするのは気のせいだろうか。
やっぱり少し子ども扱いされている気もする。
椅子から立ち上がり、キスをされた頬が熱を帯びているのを感じながら。
ゆっくりとカウンター内に侵入する。
真っすぐに歩き進み、三好さんと向き合うと。
手を伸ばし、シャツの裾をギュッと握ってみる。
「ん?」
「私に触れたかったんでしょ? なら、今すぐ抱きしめて」
突然の申し込みに「じゃあ仕事が終わってからね」なんて、軽くかわした三好さんだったけれど。
そんな大人の対応なんて、私には通用しないよ?
思った時に行動するし、口にしちゃうのが私だから。
三好さんの前では、いつだって本来の私だから。
ワガママだって、遠慮せずに口にしてしまう私だし。
「私は今すぐ抱きしめてほしい。大好きな人と気持ちが通じ合えたんだもん。この嬉しさを共有したい」