・喫茶店『こもれび』
自分でも驚くほど、素直な言葉が口を突いて出てくるの。
きっと三好さんなら、どんな私でも受け止めてくれると思っているから。
「ワガママだなぁ」
ポツリと呟いた三好さんの口の端が軽く上がり、背中に手が回された。
優しく抱き寄せられたら、三好さんのシャツが頬に触れる。
「だけど……素直で可愛い」
耳元で囁かれ、顔がほころぶ。
三好さんからは見えないけれど、今の私は一番幸せな笑顔を浮かべているはずだ。
もっともっと、三好さんを好きだという気持ちを伝えたい。
言葉にしなくても、きっと分かってくれるはず。と三好さんを抱きしめる。
私の行動に応えるように、抱きしめ返してくれる力が強くなった。
「大好き」
黙っていられず口にしてしまった唇に、優しくて甘いキスが落とされた。
誰かと出逢い、どんな関係を築けるかなんて分からないけれど。
これからやって来るお客様は、どんな人だろうか。
少しだけお客様の日常に触れ、私の知らないことを体験して吸収することができたなら。
三好さんの隣にいても違和感がないくらい、素敵な大人の女性になれるような気がする。
だから。怖がらず、思った通り。
これからも気持ちの赴くまま行動しよう。
たとえ失敗したとしても大丈夫。
いつでも私の背中を優しく温かい目で見守ってくれている、大好きな三好さんが居るから。
【完】