副社長のイジワルな溺愛

「倉沢のどこが好きなんだ?」
「っ……!!」
「あはは、大丈夫か。火傷しなかったか?」

 息を吹きかけて唇をカップに近づけていた時、副社長がタイミング悪くそんなことを言うから、含んだコーヒーをむせてしまいそうになった。
 彼はそんな私に目を細め、優しいまなざしを向けてくる。


「高校生以来の恋の相手というからには、相当惚れこんでいるんだろ? どこがいいんだ?」
「誰にでも平等に優しくて、親切だからです」
「……誰にでも、か」


 この二週間は私にとって大切な時間だ。
 試験勉強もあるし、倉沢さんに少しでも振り向いてもらえるように頑張らなくちゃいけない。

 副社長が応援してくれているんだから、いい結果を報告できるといいな。


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