副社長のイジワルな溺愛

 三日が過ぎ、五日目の夕方に一週間の仕事終わりが見えた。

 週末はひたすら勉強に明け暮れ、食材の買い出し以外ずっと自宅に引きこもっていた。


 月曜も、いつもと大して変わらず。
 噂というものはそう簡単に消えてくれるものではないらしく、私が落ち込んでいるのは副社長がいないからじゃないかと言われるようになった。

 副社長が出張で不在してから、あれだけ話していた時間が皆無になって、確かに少し寂しいと思うところはある。
 でも、元から接することなんてなかったんだし、出張していなかったとしても、用がなければ放っておくって言われたし……。



 火曜が終わって、水曜の午後をやり過ごすように業務を片付ける。
 仕事さえしていれば、特に問題はない。
 噂は消えないけど、だんだん耐性が付いてきたようで、受け流せるようになった。

 今までは気にしないようにしようとしていたけど、自分が話題にされていたら気にするのが自然なんだと思ったら、無理はしなくていいと気付いた。


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