副社長のイジワルな溺愛

「もう少しで九月受験か。勉強進んでるの?」
「それがあまり自信なくて。得点配分の高い問題で必ず躓くんです。読解力がないのかななんて思ったりもするんですけど……数字も強いわけじゃないし」
「経理室にいるのに?」

 すみません、と謝ったら、倉沢さんは私の肩を軽く叩いて笑ってくれた。


「よかったら、これからちょっと見てあげるよ。今日時間ある?」
「いいんですか!? あ……でも」

 倉沢さんとの噂があるのに、もし誰かに見られたらまた話せなくなる。
 せっかくこうして過ごせるのに、今夜だけなんて嫌だな……。


「大丈夫。この時間、誰も来ないところ知ってるから、おいで」

 袖机から勉強道具一式を取り出し、彼のあとについて経理室を出た。


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