副社長のイジワルな溺愛

 倉沢さんにお礼を言って、経理室に戻って社を後にした。
 帰宅したのは二十二時。金曜だからいいけど、平日だったら疲れ果てていただろう。


 倉沢さんには気のせいだと言ったけど、見間違いなんかじゃない。
 副社長、もう帰ってきたのかな……。予定では、日曜に帰国ってスケジューラーに入ってたんだけどな。


 携帯ケースに挿し込んだままだった副社長の名刺。
 銀座のお店に領収書をもらいに行くとき、何かあれば連絡するように言われてたなぁ……。
 御門の社員だって信じてもらえなかった時点で連絡していたら、あの日私を連れて行かなくても済んだのかもしれない。


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