副社長のイジワルな溺愛

 今さらだけど、副社長が言っていたことを思い出す。
 御門の社員は副社長にとって大切な財産で、同志でもあって……私を女性として扱ってくれて……。


 ――「俺の女になりたいなら、それなりに魅力を磨け」


 ふと思いだしたひと言に、私は目を見開いた。

 副社長の女になりたいなら、という枕詞を無視していた。
 魅力を磨くということに突き動かされて、今日まで副社長に頼ったりして……。


 副社長は、どうして私の好きな人を聞いてきたの?
 倉沢さんが好きだって言ったとき、顔を隠していたのは……?

 あの時、どんな表情をしていたの?


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