副社長のイジワルな溺愛
届きそうで届かない
いつまでもウジウジして、モヤモヤと片想いを燻らせてたって意味がない。
ふとそう思うようになったきっかけはどれなのか分からない。
でも、試験が終わって肩の荷が下り、前に進みたいって気持ちが強くなったからかなと思う。
それに、去年の今頃の自分と今の自分は全然違う。
もっと暗くてひっそりと暮らしていたけど、今は少しでも自分に似合う女性らしさを大切にしようって心がけるようになった。
副社長のおかげなのは言うまでもない。たった一言で私を変えた恩人のような人だと思う。
金曜の午後。
副社長室を訪れるのも、もはや恒例だ。
海外出張があった二週間の間、彼と話せなくて物足りなささえ感じていた。