副社長のイジワルな溺愛
「終わりました」
「ありがとう」
特に問題なく終わらせて、書類を机に当てて纏めた。
「副社長、今度倉沢さんを食事に誘ってみようと思っています」
「……上手くいくといいな」
「はい。それで、ここまで私の相談に乗ってくださったついでに、もう少しだけ教えていただきたいことがあります」
少し面倒そうにキーボードの手を休め、ハイバックチェアの背にもたれた彼は私を見遣る。
「外見だけじゃ、きっと倉沢さんを振り向かせられないと思うんです。仕事ばかり頑張ってもダメだし、性格だって彼の好みは分かりません。どうしたらいいと思いますか?」
「そんなの知るか。倉沢に聞け」
ムッとしながらも、副社長は大きく息をつくだけ。