副社長のイジワルな溺愛

「考えてみればそうだな。君みたいなタイプが倉沢を落とそうとしている時点で、見ているだけでかわいそうになる」
「副社長は、私を応援してくださっていたんじゃないんですか!?」
「別にどちらでもない。状況が好転するかどうか、相手次第だろうからな。君が失恋しようと俺の仕事に支障はないのが現実だ」

　確かにそうだけど……もうちょっと親身な気持ちでいてくれてるんだとばかり思ってた。
　これも自惚れだって言われちゃうのかな。


「ただ、頑張っている姿は悪いものじゃない」

　副社長はちょっと意地悪な微笑みを浮かべて、私に向き直った。


「俺は倉沢の好みは分からないが、君の性格は悪くないと思う。人を外見や経歴で判断しないし、笑ってしまうくらい素直なところもある。ただ、それだけじゃ色気に欠ける」
「色気……ですか」

　おそらく私にもっとも欠如しているものを指摘されて考え込む。
　今まで色気が欲しいと思って生活してきたことがないから、どこから何に手を付ければいいのかわからないのだ。