副社長のイジワルな溺愛
【倉沢さん、お疲れさまです。この前は試験勉強につき合ってくださってありがとうございました。無事受験してきました。この前のことも含めてお礼がしたいので、お食事でもどうですか?】
数分かかって打ったメールを思い切って送信して、デスクに突っ伏した。
「深里さん、どうしたの? 具合でも悪い?」
「大丈夫です、ちょっと目が疲れただけで」
「そっか。ランチに行く?」
「……行きましょうか」
倉沢さんもランチに出ているし、今どんなに待っても返事は来ない。
気持ちを切り替えて、午後の業務に取り組むためにも、彼女の後について席を立った。
「深里さん、最近本当にかわいくなったよね。何かいいことでもあったの?」
「ううん、何もないよ。週末は試験勉強ばかりしてたし」
「そうなんだ! 偉いね、向上心があって」
大したことではないと首を振って返事をして、到着したエレベーターに乗った。