副社長のイジワルな溺愛

 マウスを持つ手と、その指先まで鼓動が伝わる。
 ドキドキと脈打つたびに熱を奪われて、緊張で冷たくなっていく。

 ウィンドウを小さくして、倉沢さんからの返信をクリックした。


【深里さん、お疲れさまです。返事が遅くなってごめんなさい。バタバタしてて……っていう言い訳はしたくないんだけど、ちょうど外出とか打ち合わせとか色々重なってて……】

 そうですよね、倉沢さんはいつも忙しくしてますよね。たった一日くらい、どんと構えて待てなくてすみません。でも、早く返事が欲しくて……。
 返信を読みながら、心の中で会話するように語りかける。
 それくらい、彼の文面は優しさを感じるし、刺々しさがない。


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