副社長のイジワルな溺愛

 それから、倉沢さんと何度か連絡を取り、予定を聞いたらなるべく早い方がいいと言われて、翌週木曜に決まった。


 楽しみにしていることがあると、毎日はあっという間に過ぎる。
 日々こなしていた経理業務にもやたらやりがいを感じたりして……。





 ――木曜、十九時。
 あまり飲み歩かないからと、誘ったくせにお店選びから予約まで倉沢さんにお願いしてしまった。


「お疲れさま。迷わずに来れた?」

 気合を入れ過ぎて、約束より二十分も早く着いたなんて言えない。


「はい。地図送ってくださったので大丈夫でした」
「そう、よかった」

 予約した店の近くにあるコンビニの前から、彼のあとについて歩く。
 十月目前の秋の夜は、風がひんやりしていて火照った頬に心地いい。


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