副社長のイジワルな溺愛

 お肉で膨らんだ片頬をそのままに、きょとんとした顔で彼が私を見つめ返す。


 ――好きです。
 倉沢さんは、どう思っていますか?

 こんな私に告白されても、ドキドキしないですよね?
 入社してからずっと地味だった私に、興味を持ってくれた時なんてないですよね?



 肉の塊を飲みこみ、四杯目に頼んだ赤ワインを含んだ彼は、私と目を合わせてくれなくなった。



「ごめん、ちょっとびっくりして」
「そうですよね、まさか私なんかが告白するなんて思わないですよね。それに、こうして食事に誘う時点で驚かれてたのに、いったい何が起きたのかってびっくりしちゃいますよね、すみません」

 話していないといられない。
 きっと振られるんじゃないかって、彼の表情からくみ取ってしまったから。


 だって、いつもみたいに笑ってくれないから――。


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