副社長のイジワルな溺愛
「見るに堪えないな、泣き顔は」
「すみません……」
「でも、頑張ったんだろう、君なりに」
副社長が、私の髪をそっと撫でる。
寝癖が付いてて、ちっとも綺麗にできなかった私の髪を優しく。
「頑張っている人は、輝いて見える。それは俺だけじゃなくて誰でもそうだ。だから、君がしてきたことは何ひとつ無駄じゃない。これからも続けることに意味がある」
少しも微笑んでくれないのに、副社長の瞳はいつになく憂いを帯びているように見えた。
帰宅する間も、家に着いて食事をしていても、お風呂に入っても。
きっと、夢の中でも。
倉沢さんを好きでいてしまう。
あんなふうに優しく振られたら、切なさだけが残されて……心の中にまで涙があふれてしまう。