副社長のイジワルな溺愛
「――経理室の深里です。御門副社長からご連絡いただいていたので折り返しているのですが、いらっしゃいますか?」
「はい。お繋ぎします」
こんな時間でも秘書が残っているということは、役職者のサポートはそれほど大変なのだろう。それに、あと少しで半期が終わるし、余計に業務が多そうだ。
「御門です」
「経理室の深里です。お疲れさまです」
「あぁ、昼間の。領収書はもらえましたか?」
「はい」
「何も問題なく?」
そういえば、あの綺麗な女性に伝言を頼まれたんだった。それに、こんな格好で行ったから、入店拒否の洗礼も受けたんだっけ……別に遊びに行ったわけじゃないからいいけど。
「聞いてるのか?」
「あ、はい。その……ご伝言を承りました」
「そうか。申し訳ないが、私の部屋まで来てください。今すぐに」
一方的に切断された内線に唖然としつつ、今すぐに来るよう言われて焦って席を離れた。