副社長のイジワルな溺愛
「……私は、副社長にとって“女”なんですか?」
「何度も当たり前のことを聞くな。君は一人の女性だろう?」
「女性になら、誰にでもこんなふうに優しくされるんですか?」
副社長と初めて出かけた銀座の夜。
あの日、彼が私に言ったひと言が、ずっと心に引っかかったままだ。
私は、魅力を磨くことの大切さに気づかせてもらったとばかり思っていたけど、彼は違った。
副社長の“女”になりたいなら……って、どういう意味だったのか聞けずに、今日になってしまった。
「誰にでも優しくする男に見えるか? 俺は、自分を分かってくれる人が一人でもいてくれたら十分だ」
「……じゃあ、どうして私に?」
問いかけても答えなくなった彼は残りのサラダを互いの取り皿に乗せて、店員を呼んだ。