副社長のイジワルな溺愛
一日に二度も副社長に会うことになるとは……今日は厄日だ。
「失礼いたします」
「はい」
ここは内開き、と。
昼間の小さなミスを繰り返さないよう、気を付けてドアを開けた。
「深里です」
「お疲れさま。それで、伝言はなんでしたか?」
念のため持参した領収書を差し出すと、二、三度頷いて確認をしてくれた様子の副社長が尋ねた。
「お名前は伺っておりませんが、綺麗な女性にお声かけいただきまして、社名を告げたところ副社長が先日ご来店されたのでとご挨拶いただきました」
「……それから?」
うわぁ、ものすごい怪訝。眉間に深い皺が寄り、私を見つめる視線にも副社長の不快を感じる。