副社長のイジワルな溺愛
「さっき、俺に言ったことを覚えているか?」
「…………」
順を追って記憶を手繰り寄せる。
でも、失恋した私を甘やかせてくれた副社長の優しい微笑みばかりが思い出される。
その他にもいろいろ話したけれど、アルコールのせいで上手く思い出せそうにない。
「俺の心の中を覗きたいと言っただろ?」
低くて冷静な声色が、彼の胸元から響いて聞こえる。
「そんなに知りたいなら、教えてやらないこともない」
「っ、本当ですか!?」
引っかかっていたことがやっと消化できると、私は彼の胸元から顔を上げた。
「!!」
副社長の焦った様子を目にしたかと思ったら、すぐにきつく抱きしめられてまた閉じ込められてしまった。
「副社長?」
「見なくていい。このまま話を聞け」
視線を上げると、話している彼の喉と顔の輪郭が見える。
ベッドサイドの明かりのせいで色づいているのかわからないけど、彼の顔がいつもより赤く見えた。