副社長のイジワルな溺愛
「さて、帰るか」
時計は十八時四十五分過ぎ。待たせて悪かったと言って、彼はジャケットを羽織ってからトレンチコートを腕に掛け、ドアの方へと向かっていく。
「一緒に出たら、また色々言われちゃいますよ?」
「俺は構わないが、君は俺に告白されたとでも言っておきなさい」
「えっ!?」
「本当のことだ。後ろめたさを感じる必要はない」
「でも」
エレベーターがやってきて、迷うことなく乗った彼に腕を引かれた。
「そんなに困るなら、早く俺の女になれ。いくらでも守ってやる」
「……っ!!」
二人きりのエレベーターの中、きつく抱きしめられて息が詰まる。
「まだ倉沢のことが忘れられないか?」
「…………」
「俺は、返事がもらえるまで諦めないからな」