副社長のイジワルな溺愛
私の魅力ってなんですか?
ふっと眠気が途切れ、目覚めた。
夏の朝は日が高く、カーテンの隙間から漏れ入る光は暑そうで気が滅入る。
「……大変っ!!」
昨夜は珍しく遅くまで残業をしたせいで、帰宅したのは二十二時過ぎ。
ろくに食事もとらず倒れるように眠りについたため、シャワーも浴びなくてはならないのに、壁時計は家を出る時間の十分前だ。
こういう時、男の人だったら楽なのにと思いながら急いでシャワーを済ませて、適当に服を選び、メイク道具を入れたリュックサックを背負って家を出た。
出社時刻は所属部署によって異なり、経理室は毎朝九時半に始業する。
だけど、今朝はギリギリになりそうだ。今まで無遅刻無欠勤だったのに!!
「すみません! 乗ります!」
ちょうど扉が開いていたエレベーターに駆け込んで、膝に両手をついて肩で息をした。