副社長のイジワルな溺愛
「それから、本が好きなんですけど……きっと兄弟がいなかったからかもしれないなって思います」
「視力が悪いのは、そのせいか?」
「寝なさいって言われてからも、暗い部屋の中でこっそり読んでたんです。どうしても栞の先の展開が気になって眠れそうになかったから」
「わかるよ。俺も本は好きだから。兄はゲームばかりしてるのに優秀で、悔しかったから本の虫になって夢中で読みふけった」
懐かしんでいる彼の横顔が、私は好きだ。
もし、私もブランデーを飲めるようになったら、彼と同じくらいの色気を纏えるのかな。
「今度公開する映画の原作者が、俺はすごく好きでね。全作揃えてあるくらい」
「私もです! 映画観に行きたいなぁって思ってたところで」
「じゃあ、今度一緒に行こうか」
「……はい」