副社長のイジワルな溺愛

「半端な優しさで傷つけられたか……」

 私の心模様を汲み取ったかのように、副社長が私の髪をそっと撫でて呟いた。


「それでも、茉夏は倉沢が好きなのか?」
「っ!!」

 問いかけに首を左右に振って答えると、副社長が私を腕の中に包み込んだ。


「一生懸命頑張った。倉沢のことが好きで、魅力を磨こうと努力してたの、俺は分かってるから」
「…………」

 涙の影に声を潜め、泣き続ける私に彼は優しく声をかけてくれる。
 それがとても嬉しくて、温かくて……心の傷に蓋をして癒されるよう。


「今度は、俺が茉夏を振り向かせるために頑張るから。倉沢なんて忘れさせてやる」

 副社長は、今どんな顔で話しているんだろう。
 泣き顔を彼の胸に埋めている私は、彼の香りを感じながら目を閉じ、ゆっくりと息を吸った。


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