副社長のイジワルな溺愛

「どうしてこんなに、私を甘えさせてくれるんですか?」
「当たり前のことを聞くな。お前が世界一好きだからに決まってる」

 離れていた身体が再び引き寄せられ、情熱的な瞳に私が映る。


「他の男のせいで泣くのは、これで最後。俺は茉夏の笑顔を見れるだけで、幸せな気持ちになれる」


 傾けられた顔にキスの予感を感じて、私もまぶたを下ろした。
 涙が滲んだばかりの私の唇に、彼は気持ちを込めて重ねてくる。

 会社の誰にも言えない、副社長との秘密をいつからか求めるようになってしまっていると、私はようやく気づかされた。



「――茉夏」

 キスの合間に呼びかけられて、薄らと目を開けた。
 彼が教えてくれたこの鼻先の距離は、きっと特別な二人のためにあるんだろうな。


「もう少し、深く愛してもいいか?」

 あまりにも切なくて甘い声色で彼が囁き、私はそう間を置かずに見つめあった視線ごと受け入れて、そっとまぶたを閉じた。


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