副社長のイジワルな溺愛
「副社長、あの……」
「こっちに来い」
命令する口調は、冷徹副社長様そのもの。
数か月前に戻ってしまったようで、私の心は落ち着かない。
デスクを挟んで彼の目の前に立つと、突き刺さるような視線で磔にされたみたいだ。
「今朝のメール、見たよな?」
「はい。出勤途中にいつもいただいているので」
「だったら、なんですぐに返事をしない?」
「予定が合わないんだな、と理解したので……」
私が理由を言うと、彼はすかさず重いため息をついた。
「――嫌われたのかと思った」
「え!?」
「金曜、あんなキスしたから……俺のことを嫌ったのかと思った」
両肘をデスクに突いて、軽く組んだ両手で額を支える彼は、ゆっくり息を吸って顔を上げた。