副社長のイジワルな溺愛

「……嫌われてはいないんだよな?」
「もちろんです!」

 それどころか、私は副社長に恋を自覚してしまっていて……。メール一通でも嬉しくなるし、こうして顔を合わせるとドキドキと鼓動が止まらなくなる。

 今は、彼がどんなに冷たい声色でも、視線が鋭くて不機嫌そうでも、彼の本性を知ってしまっているからか怖いと思ったりはしない。


「よかった……」

 ドサッと音がしそうなほど大きくハイバックチェアにもたれた彼は、少しだけネクタイを緩めた。


「茉夏」
「……会社でその呼び方は」
「いいだろ。俺が決めたんだから文句は言わせない」


 いじわるだけど、どこか楽しそうな彼の微笑みも好き。

 だけど一番好きなのは……。


「キスしたくて、呼んだ」

 おもむろに立ち上がった彼は、さらにネクタイを緩めて私に近づいてくる。


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