副社長のイジワルな溺愛

 彼が纏う色気に圧倒されて、後ずさる私の踵とひざ裏が応接セットのソファにぶつかった。


「逃げるな」

 伸びてきた彼の腕が私の腰元に回され、引き寄せられたかと思った瞬間、押し倒された。


 金曜と似たような彼の体勢に、一気に緊張が走る。
 彼の自宅や他の場所ならまだしも、ここは会社。しかも副社長室でこんなこと……。


「仕事に戻らないと、ランチタイムが終わる頃なので」
「俺の気持ちをもてあそぶお前が悪い」

 容赦なく彼のやわらかい唇が触れてきて、室内にキスの音が漏れる。
 今までになく鼓動が大きく鳴っているからか、息苦しくて唇を開いてしまった。


「んんっ!!」

 挿し込まれた彼の舌が、いつまでも返事をしない私を問い詰めてくるようだ。

 まだ好きにならないのか? どうしたら好きになる? ……って、言葉にしなくても彼の切なそうな表情が訴えてくる。


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