副社長のイジワルな溺愛

「お疲れさまです」
「御門副社長!」
「いつも頑張ってくださっているので、差し入れです。社員がワガママ言うと思いますが、これからもお願いします」
「もちろんです!」

 大きな口で牛丼を頬張っていると、副社長が差し入れをしているのが見えた。


 ……私には何もないのに、おばちゃんには労いの差し入れですか。しかも、その高級スイーツ店のシュークリームは、私も好物なんですけどねっ。


 腑に落ちないまま、トレーの横に置いた携帯を人差し指で操作しながら、投稿された呟きのタイムラインを眺める。味噌汁の具が多くて嬉しいけど、食べてもなかなか減らなくて、胃が満たされてきた。


「金曜は、予定がありますか?」
「っ……はい!?」

 とっくにいなくなっていたと思っていたのに、副社長がやってきて突然話しかけてきたから、思わずむせそうになった。


< 30 / 386 >

この作品をシェア

pagetop