副社長のイジワルな溺愛
普段あまり穿かない膝丈の上品なフレアスカートのせいで、居心地が悪い。
自席でひたすら業務に邁進して、今日中に終わらせなくてはいけないものから順に片付けた。
こんなに気が重い金曜の夜は久しぶりだ。入社してすぐに強制参加させられた歓迎会以来かもしれない。
できればあまり人と接することなく、気の合う人とやりとりができればいいと思っていたのになぁ。今夜はどういうわけか副社長と約束することになるなんて。
十八時は未だたくさんの社員が勤務中で、正面玄関の往来が多い。こんな時間に立っているだけで、行き交う社員の視線は多少なりとも集まるもの。
「お疲れさま」
「……お疲れさまです」
時間通りに背後から現れた副社長に声を掛けられ、思わず肩が竦む。何度経験しても、どうしても慣れそうにない。